2x2...人と文鳥の小さな群れ

シルバ@blanccasseのための備忘録

椋鳥は抱いている

どんなに言葉を選び、言葉を尽くしても。
三千の言葉を重ねて想いを象ったとしても。
その場では伝わったように思うことの出来る瞬間があっても。

後で、零れた想いに気付かされることがある。

それでも、無くならない断絶。
その中で。届くという奇跡。

活字の海の中で、無限の言葉を蓄え。繰り返し祈る。
力なく立ち尽くし、震える身体でしゃがみ込み。
・・・そしてまた立ち上がって。

他に手立てを知らないから、私はこれからも語り掛け続けるのだろう。
信じて。

椋鳥は

椋鳥は 抱いている
いつまでも孵らない
腐った卵を 怪しむこともせず

Lよ
Lよ
わたしもまた その愚かしい椋鳥かもしれません
孵るはずのない
言葉を ひたすらに抱きしめて

高野喜久雄詩集 』(思潮社・現代詩文庫40)より