2x2...人と文鳥の小さな群れ

シルバ@blanccasseのための備忘録

卵管脱まとめ

今回の騒動、反省点も含めて。

卵管脱
発情状態下において、長時間力むことにより、肥大した卵管が総排泄腔から飛び出してしまう症状。早期発見、早期治療が何よりも重要。鳥が気にして突くことにより出血し、傷口が壊死することもある。また、発見が遅れ、乾燥してしまった場合、元に戻せなくなることもある。卵秘(卵詰まり)同様、これを引き起こすと糞尿が出なくなり、本来排出されるべき毒素が体内に回り、腎不全になることによって、早い場合には一〜二日で、あっという間に命を落とす可能性もある。慢性的な発情状態、頻繁な産卵などが原因となりやすい。

※人間で云えば“脱肛”のような症状。これとよく似た症状を持つ“総排泄腔脱”は、総排泄腔が反転して出て来てしまうものである。

治療法

1:押し込んで戻す
突出部分に付いている傷口を消毒。消炎剤と抗生物質入りのジェルを患部に塗った上で、消毒薬に浸けた綿棒で卵管を押し込み、再度突出しないよう暫く押さえる。その上で、再突出せずにきちんと排糞出来るか、確認する。

※医師の指導を受けたベテラン飼い主さんなど、自分で処置が出来る方もいる。しかし、卵管脱は押し込んだだけでは、再突出しがち。個鳥差があるので、一度だけで済む個鳥もいるが、そうでない場合の方が多い。もし、度々卵管脱を引き起こすようなら、縫う処置を検討する。縫わない選択をするのであれば、卵管収縮まで、発見する度に早急に押し込む必要がある。

2:縫う
総排泄腔出口を一針程度縫い、排糞は可能でも卵管脱はしないよう、具合を見ながら物理的に穴を塞ぐ。

※大概の場合、三日程度で抜糸可能。来シーズンの繁殖(産卵)には影響がないものの、抜糸前に更に発情、卵を形成してしまうと、出口が塞がれているだけに大問題に発展する可能性がある。

3:その他処置
出てしまった卵管を戻すことに関しての処置は、上記二つであるが、これに不随して起こる全身状態に合わせ、様々な手当、薬剤投与が必要とされる。

※朱華の場合。卵管脱から診察まで、どう長く見積もっても三時間程のはずだが、診察時には、ぶるるっと身体を震わせて羽繕いする時のように、最大限膨らんで、見て分かる程ガタガタ震えていた。危篤状態だったのかもしれない。産卵の可能性が否定し切れず、縫う選択をしなかったこともあり、薬剤投与以外に、緊急処置としての点滴注射を行った。産卵前後を含め、退院までの間に計三回程度、背中に皮下注射*1

4:注意点
腎不全の危険性と共に、卵管脱の処置を施したとしても、卵管の炎症が治まるまで、発情には、正常な卵が形成されない危険性が伴う。軟卵による卵秘(卵詰まり)も心配であるが、異常な卵となった上に、卵管に癒着してしまう可能性もある。もし、万が一、レントゲン撮影等で癒着が確認された場合、開腹手術を行うかどうかの選択を迫られることになる。

反省点

卵管脱の原因が過剰産卵(慢性発情)にあることは分かっていても、事前に兆候として判別することは、ほとんど不可能らしい。が。そこを敢えて振り返ってみれば。

まずは糞の数を確認していなかったこと。普段から数を把握し、糞の減少を即異常と感じていれば、もっと早く診察を受けさせることが出来、少なくとも卵管の炎症は確認出来たはず。

また、発情傾向にあるのにデカチョス(溜め糞)をしないのを異常と感じなかったこと。逆に発情が抑えられていると勘違いしたこと。体重の推移からも、明らかに発情していたのだから、緩やかにでも糞は大きくなっていくのが正常。思い返してみれば、朱華の糞はかなり細く(直径が小さく)なっていたのである。

課題

卵管脱が予測できない以上、休診日や深夜等の診察時間外に起こる可能性がある。また、恐ろしいことに“癖になりやすい”という話もある。。。次回診察時に、応急手当法を詳しく聞き、実際に自分で施せるようにならなくては。※その際には追記する予定。※2/5追記済。

応急処置(2/5追記)


ベビー用綿棒・外用イソジン
結局、『押し込んで戻す』しかないとのこと。行為自体は病院と同様であるが、一般家庭では消炎剤や抗生物質などの入ったジェルなど用意出来ないので、あくまでも緊急時に代用品で行う処置と認識し、自己責任で行って頂きたい。

※下記に記載した事項は、あくまでも応急処置なので、万が一参考にする場合でも自己責任で行い、可能な限り早く病院へ連れて行くこと!!

用意する物

  • 綿棒 ー 普通の綿棒だと文鳥の総排泄腔には太すぎるので、必ずベビー用綿棒を使用する*2
  • 外用イソジン ー うがい用ではなく、切り傷・擦り傷を殺菌、消毒するための外用イソジン混同注意!)。

応急処置法

  1. しっかり保定する。
  2. 突出部分と周囲の傷口を外用イソジンで消毒。
  3. 外用イソジンを含ませたベビー用綿棒で、総排泄腔内部に卵管を押し込む。
  4. 綿棒を抜いた後、すぐに再度突出しないよう、総排泄腔出口に綿棒を当てたまま暫く押さえる。
  5. 再突出せずにきちんと排糞出来るか、保温・保湿しつつ確認する。
  6. 再突出したのを発見する度に、早急に押し込む手当を繰り返す。

注意点

  • 綿棒が卵管にくっつかないよう、外用イソジンはたっぷり浸け、充分に含ませる。
  • 押し込む目安は、綿棒の頭(丸く膨らんだ部分)が全て総排泄腔に収まる程度。
  • 文鳥が力んでいる間は綿棒を抜かず、力が抜けた時を見計らって、呼吸に合わせてそっと抜く。タイミングが悪いと再突出させることになる。
  • 抜いた後、押さえる際には、ほんの少し押し上げ気味にする。

※下品な例で申し訳ないが。人間だって脱肛して傷口が炎症を起こし腫れ上がっているところに、麻酔も無く適当な棒か何かでそれを押し込まれたら、そりゃあ痛いし苦しいに決まっている。文鳥が暴れないよう、なるべく負担が掛からないように処置出来るかどうかは、慣れと扱い方しかないのではないだろうか。私自身、なるべくこんな知識を役立てたくない。でも、もしそんな時が来てしまったら。落ち着いて、慎重に、肝を据えて対処出来・・るように、祈る(滝汗)。

*1:『皮下注射』というのは、『皮膚と筋肉の間にある皮下組織と呼ばれるところに薬を注射する方法で、薬は注射部位の毛細血管から吸収され全身にいきわた』る。爪切りとは逆に、背中側を上にして保定後、背中の上の方(人間で云えば肩胛骨の間くらいのイメージ)に注射。鳥への注射法に関しては、横浜小鳥の病院HP飼鳥の医学ー 鳥への投薬法 ー に詳しい記述がある。

*2:薬局のベビー用品売り場で一本ずつパックされた商品を発見。